From 三橋貴明
【近況】
18世紀末から19世紀にかけて活躍した経済学者トマス・ロバート・マルサスといえば「マルサスの罠」でございます。
マルサスの時代の経済は、生産活動に「土地」「労働」を投入し、農産物を生産するスタイルでした。土地の広さには限界があるため、当時の経済学は「収穫逓減」が常識でした。
土地という制約条件がある以上、労働をどれだけ増やしても、「労働者一人当たりの生産=所得」は増えません。それどころか、収穫逓減の法則により、投入される労働者「単位当たり」の生産量は減少していくのです。
収穫逓減が必ず成立するとなると、人口の増加率が常に生産物の増加率を上回ることになり、人類は飢餓から逃れることができない。これが「マルサスの罠」でした。
実際には、産業革命や技術革新が、マルサスの罠を破壊することになったわけですが、マルサスと言えば、もう一つ、非常に示唆的なことを言っています。
所得格差の拡大が、過少消費、過剰投資を生み出し、経済を長期的停滞に追い込むという考え方、すなわち過少消費説です。
なぜ、所得格差が過少消費をもたらすのか。低所得者は、消費性向は高いものの、消費するために十分な所得を得られない。高所得者は、消費するために十分な所得はあるが、消費性向が低い。
結果的に、有効需要が不足し、経済は長期停滞に陥る。マルサスの過少消費説は、やがてはケインズの有効需要の理論に引き継がれました。
本気で我が国が経済成長を追求したいならば、消費性向が高く、かつ消費するための所得が十分にある「中間層」の復活が不可欠ということです。と言いますか、中間層を低所得者層に落とす政策は、全て経世済民に反しているということになります。
珍しく、明日に続きます。
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日本はプライマリーバランス黒字化を「強引に」進めている結果、肝心の「財政健全化」から遠ざかっていることを解説しました。
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6月27日(火) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
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6月28日(水) 6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」。今週は講演スケジュールの関係でお休みです。
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ピンチヒッターは藤井聡先生!
6月21日(水) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
【Front Japan 桜】日本で流行しているプロパガンダ手法 / 中国太子党ビジネスの特徴と習一族の今[桜H29/6/21]
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インターネット受講の皆様、お待たせいたしました。
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『デフレ型経済成長①』三橋貴明 AJER2017.6.20
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